アロマとしても人気の香り、樹木の枝葉から抽出した森の精油(せいゆ)のご紹介 (3) アオモリトドマツ
こんにちは!
北国の森商店です🌲
アロマとして、ルームスプレー・入浴・ディフューザー・ロールオンなど、さまざま楽しめる精油(エッセンシャルオイル)。
そんな精油の中でも当店で販売している精油は、国産原料を使用し、国内で製造した「和精油」と呼ばれる大変貴重なものです。
また、林業を営んでいるので、森林整備の過程で林地から出るさまざまな樹種の枝葉を活用して、樹木系(ウッド系)のみ、希少な樹種を含む全11種類を製造・販売しています。
そんな私たちがつくっている和精油「Wood,wood 森の精油シリーズ」を順にご紹介していきます。
第2回の今回は、「No.3 アオモリトドマツ」です。
アオモリトドマツとは?

アオモリトドマツは、マツ科モミ属の常緑針葉樹で日本の特産種であり、本州中部以北に生息し、北限は青森県と生息域は限られています。
さらに生息域の中でも、標高が高く雪深い環境に生育するため、とても希少な木となります。
正式な種名は「オオシラビソ」といい、初めて発見されたのが青森県の八甲田であることから、アオモリトドマツという通称で呼ばれるようになり、青森市の「市の木」にも指定されました。
9月から10月頃にかけて球花が熟すと、ブルーベリーのような色の特徴的な美しい松ぼっくりがなる、とても神秘的で美しい木です。
また、蔵王や八幡平、八甲田などで「スノーモンスター」とも呼ばれる「樹氷」は、このアオモリトドマツの木が雪と氷で覆われたものです。
日本三大樹氷として山形県の蔵王、青森県の八甲田山、そして秋田県の森吉山が有名で、それぞれの山頂には神秘的な風景が広がります。
そんな美しく神秘的な樹氷が織りなす景色ですが、近年、蔵王ではアオモリトドマツは大量に枯れていて、いずれ樹氷が見られなくなる可能性もあります。
温暖化の影響などで害虫の生息域が拡大し、アオモリトドマツに限らず、マツやナラなど、各地で大量に枯死しており、豊かと思われている日本の自然ですが、多くの人が知らぬところで、実は大きなダメージを受けています。
環境が変わり、害虫を捕食する鳥や虫がいなくなると、害虫が優位となり、繁栄し、特定の植物を枯らします。
生物多様性が重要と言われるのは、単に種類だけの話ではなく、こうした景観の形成も、生物多様性が豊かであることが関係しているからです。
アオモリトドマツに含まれるボルニルアセテートの効果

アオモリトドマツの精油の主成分は、希少なボルニルアセテート。
パイン(松)や樟脳のような爽やかな香りが特徴で、森の香りと呼ばれるその香りは、気高く爽やかで凛とした力強い香りがします。
モミの精油に含まれる成分としても知られており、睡眠促進効果や肌質改善効果が期待されるという研究結果も出ています。
また、抗菌・化膿防止など各種医療薬品の原料としても重要な物質で、空気中のウイルスを少なくしてくれる効果もあるそうです。
アオモリトドマツの主な利用方法

通常、揮発性物質は すぐに空気中に消えてしまいますが、「ボルニルアセテート」は空気中に長時間拡散し、存在することができる物質です。
そのため、お部屋の中で香らせることで長く楽しむことができ、精神安定やリラックス効果も期待できます。
アオモリトドマツの精油を、アロマデュフューザーなどでリビングや寝室に香りを拡散したり、アロマスプレーにしてカーテンやソファー、枕や布団などのリネン類、車のシートや車内にスプレーするのも良いでしょう。
また、汚れを払う浄化や厄除にも使われていた木ですので、アオモリトドマツ精油と無水エタノール、精製水を原料にアロマスプレーを作り、お出かけ前や帰宅後に ご自身にそのスプレーを振りかけたり、
アロマデュフューザーやアロマストーンに垂らして玄関に置き、悪しきものが入ってこないような爽やかな空間作りに役立てるのもおすすめです。
アオモリトドマツとマタギから見える森林の問題

北の地を訪ね歩いた菅江真澄の著作には、「マタギは山に入る際、オオシラビソの枝葉を燻した煙を浴びて里の穢れを祓い、無事の戻りを祈り、山に入っていた」と記録があるほど、北の地の人々にとって大切な木だったことが分かります。
生活の西洋化に伴って、薪や炭が化石燃料に置き換わり、肉や山菜などを大型スーパーで買うようになり、水道をひねれば水が出るようになると、森と人との関係性はどんどん薄れ、人と森との心理的距離はどんどん離れていきました。
獲物をもたらす山や森に感謝し、畏敬の念をもって育まれてきたマタギ文化の衰退も、前述の生物多様性の毀損も、人と森との心理的距離が離れたことが一因と考えます。
水源涵養や国土保全、快適環境形成など、さまざまな公益的な機能を持つ森が大切なものであると分かっているのに、森との直接的な関わりが無くなってしまったことで、森林は豊かで、そこに当たり前に存在するものとして多くの人が目を向けなくなり、日本における森林の問題は、「問題を知らないこと」が問題となっています。
森がもたらすさまざまな便益を現在及び将来世代に提供するために

北国の森商店は、お客さまに良い商品を手に取って使ってもらい、豊かな時間を過ごしていただくことで、その商品を生み出す北東北の森や、森の恵みに、思いを馳せてくださるキッカケになればと、まずは良い商品を作ることを大切にしています。
アオモリトドマツの精油も、林業を営んでいるからこそ、アオモリトドマツの森の整備から出る枝葉を原料に精製することが出来ましたが、原料入手困難ゆえ、当店でも現在の在庫が無くなれば、次いつお出しできるか分からない、、
そんな大変貴重な精油であり、とても良い商品です。
本来はそのまま廃棄される枝葉を活用して精油とすることで、たとえ生産量が少量であっても、継続販売が難しいものであっても、皆さまに喜ばれる良い商品となれば、樹氷の木であるアオモリトドマツという木を知ってもらえ、アオモリトドマツをはじめとしたさまざまな樹種で枯死の問題が日本各地の森にあることを知ってもらうという大きな価値が生まれます。
この機会にぜひ、貴重なアオモリトドマツの精油を手にとっていただき、北東北の恵が凝縮された貴重な精油をぜひ暮らしの中でお役立てください♪
そして、山や森、林業などの問題に少しでも関心を寄せていただけたなら、何より嬉しく思います。
▼No.3 アオモリトドマツ

